ことわざ/襟を正す(えりをただす)とは?

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「襟を正す」意味と読み方

【表記】襟を正す
【読み】えりをただす
【ローマ字】ERIWOTADASU

【意味】
乱れた衣服を整え、姿勢を正しくすること。気持ちを引き締めるという意味。
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説明

衣服の乱れを正すことから、気持ちを引き締めることをいう。紀元前約180年ごろの中国の前漢の時代。賈誼と宋忠という若い学者二人が休日に「易経とは何か?」について議論していた。ところが話がまとまらず、実際に易者に聞いてみることにした。「易」とは、占いのことだが、古代周王朝の時代から伝わる「周易」を基礎とした、儒教の教えの一つにあたる。若くして学者を志す若者にしてみれば、興味をもつことは必然だったのだろう。二人が話を聞きに行った易者は街角で商売をしていた司馬季主という占い師で、実際に話してみると、その見識はとても広く、二人ともびっくりした。そこで二人とも疑問に思い、「なぜ貴方は、それほどの知識がありながらも、こんな所で商売されているのですか?」と質問した。ところが、「では本当に偉い学者とはどんな人物か?」と逆に司馬季主に質問を返された。「それは当然、王(皇帝)に仕え、政治的な役割を果たしたり、多くの弟子たちに囲まれ尊敬される賢者のことを言うのではないのでしょうか?」と二人が答えると、司馬季主は二人の若者に「あまい、あまい。」と言わんばかりに微笑んだ。「たしかにそうした先生方もいるが、もし間違った判断をしたがゆえに君主に殺されることもある。しかし易者は、せいぜい『金返せ』程度のことだし、逆に病が治ったり、悩みが解決して周りから尊敬されることはある。決して名誉やお金だけが学者の道とは私は思わないよ。きれいごとかもしれないが、お二人はまだ若い。ゆっくりと考えてみなさい。」司馬季主の言葉で二人は自分たちの考えが見誤っていたと思い、襟を正した。ところが幾年か経ち、二人とも国の役人となる。賈誼は若くして大成し、前漢の皇族「劉揖」に仕えるが、主君が落馬で没し、行き場を失った賈誼は翌年自害する。一方、宋忠は匈奴(北方モンゴルの騎馬民族のこと。「匈奴」という言葉は、「匈匈(騒がしい)」の意味から「騒がしい奴ら」となる。)の使者として北の地へ赴いたものの、生きて戻れるか不安を感じ、漢へ帰国してしまう。そのせいで裏切りの汚名を着せられ、刑罰を受けることになる。結局二人とも不運な人生を歩むことになった。『史記・日者列伝』より。「史記」は、歴史学者である司馬遷が編纂した書物。司馬遷は、古代王朝「周」の時代から歴史の記録係をしていたという司馬氏の末裔。『史記・日者列伝』に登場する賈誼は実在した人物で、20歳ごろから大成した早熟のエリートだった。宋忠はここでしか登場しないので、実在か不明。司馬季主も日者列伝にしか登場しないが、司馬遷と関わりがある親戚か誰かと思われる。このことわざは、多くの若者が役人を志すことは悪いことではないが、役人になったがゆえに不運な人生を歩む人も多かったという司馬遷の警笛の意味が含まれている。

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詳細

注釈、由来

【注釈】「襟(えり)」とは、衣服の首元を指す。元は「衣」編に「禁(ふさぐ)」とすることで、胸元の部分を整えるという意味になる。

【出典元】『史記・日者列伝』
【語源・由来】『史記・日者列伝』に、漢の宋忠と賈誼が司馬季主と会った際に「纓を猟り襟を正して危坐す(冠の紐を整え、襟をきちんと直し、正しく座り直した)」とある。

「襟を正す」の言い換え、反対、似た言葉

【同義語】

【類義語】

膝を正す

【対義語】

【注意】
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「襟を正す」の例文

【日本語】「政治家は今までのようなずさんな仕事をするのではなく、この機会に襟を正す必要がある」
【英語】

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