「雉も鳴かずば撃たれまい」意味と読み方
【表記】雉も鳴かずば撃たれまい
【読み】きじもなかずばうたれまい
【ローマ字】KIJIMONAKAZUBAUTAREMAI
余計なことを言ったばかりに、自ら災いを招くこと。
説明
雉も鳴かなければ、人間に撃たれることもないのにという意から、無用な発言をしたために、自ら災いを招くことをいう。無用な発言をして、自ら災いを招くことのたとえ。信州の民話「雉も鳴かずば」より。昔、川の氾濫で母を亡くした貧しい父(弥平)と娘(千代)がいた。ある日弥平は、病気にかかった千代に赤飯を食べたいとねだられ、地主の倉から少しの米と小豆を盗む。赤飯を食べて元気になった千代は、嬉しくてマリをつきながら、毎日こんな歌を歌っていた「おらんち おいしいまんま トントン あずきのまんま トントン」「はて?弥平の家で赤飯なんぞでたのけ?変じゃのう?」その歌を聞いた通りすがりの百姓は不思議に思いながら、その時はとくに気にすることも無かった。またそのころ地主の家では、わずかな量ではあるが小豆と米が盗まれたと役人に報告したという。しばらくして、また川が氾濫するため人柱を立てることになった。その時、「この村に盗みをした者がおる。」と声を出した者いた。千代の歌を聞いていた百姓だった。弥平は村人たちにそのことを聞かれると、正直に「自分がやった。」と答えたため、簀巻きにされて氾濫した川に流されてしまった。帰らぬ人となった父を思い、自分の歌を責め泣き続けた娘は、ついに一言も言葉を話さなくなってしまった。幾年か経ったある日、村の猟師が雉の鳴き声を聞き、銃を撃った。仕留めた獲物のところへ近寄ったところ、そこには大人になった千代の姿があった。千代は「雉よ、お前も鳴かなければ、撃たれまいに。」と言い残し、冷たくなった雉を抱いてその場を去ったという。その後、千代の姿を見た者はだれもいなかったが、村では二度と人柱をたてることは無かったという。
詳細
注釈、由来
【注釈】「雉(キジ)」は日本に生息する鳥のこと。「撃たれまい」は、「(猟師に)撃たれなかっただろう。」という意味。雉は、世界でも一般的な狩猟対象の生き物とされている。
【出典元】昔話「雉も鳴かずば」
【語源・由来】不用な発言で父を亡くした不運な娘が、鳴いて猟師に撃たれたキジを自分と同じだと思い、「雉も鳴かずば撃たれまい。」と発した言葉から。信州の民話「雉も鳴かずば」より。
「雉も鳴かずば撃たれまい」の言い換え、反対、似た言葉
【同義語】
雉も鳴かずば打たれまい(きじもなかずばうたれまい)/雉も鳴かずば射たれまい(きじもなかずばうたれまい)/鳥も鳴かずば撃たれまい(とりもなかずばうたれまい)/鳴かずば雉も撃たれまい(なかずばきじもうたれまい)
【類義語】
三寸の舌に五尺の身を亡ぼす/物言えば唇寒し秋の風/口は災いの元/舌は禍の根/口は禍の門/禍は口から/病は口より入り禍は口より出ず/蛙は口から呑まれる/多言は身を害す/鳴く虫は捕らる/口は善悪の門
【対義語】
―
「雉も鳴かずば撃たれない」というのは誤り。
「雉も鳴かずば撃たれまい」の例文
【日本語】「酒の席だからといって、上司に失言したばかりに左遷されたらしい。雉も鳴かずば撃たれまいというのに、ばかだなあ」
【英語】
Quietness is best, as the fox said when he bit the cook’s head off./Never rode, never fell.