「治に居て乱を忘れず」意味と読み方
【表記】治に居て乱を忘れず
【読み】ちにいてらんをわすれず
【ローマ字】CHINIITERANNWOWASUREZU
平和な時でも万一の事を考えて準備を怠るなということ。
説明
「順調な平和が続いても、いつか戦争が起きることもあり得る。そうならないためにも、軍備を怠らないことだ。」という戒め。もし仮に現代社会で戦争が起こらないとしても、仕事上、どこでもライバルはいる。金持ちが突然財産を失うことは、よくある話であり、常に邁進していくのは当然なのかもしれない。例えば西洋には「If you want peace, prepare for war.」ということわざがある。語源は不明だが、ローマ帝国の『軍事論』にある「Igitur qui desiderat pacem, praeparet bellum.」という言葉から作られたものと思われる。当時のローマ帝国は、経済の破綻によって、安価の傭兵に頼ることが多くなっていた。つまり、いつ滅んでもおかしくなかったのである。事実、軍事論に書かれたこの言葉は西暦390年頃であり、その後、ローマは東と西に分裂、衰退の道へと以降していく。その事を考えると、当時のローマ帝国でどれだけ「今後の帝国」について議論されていたのかは想像できよう。こういう軍の重要性を唱える歴史上の人物は非常に多く、孫子やナポレオンも似たようなことを言っている。日本でも富国強兵があったので、戦争を促すようなこのことわざは、古い時代では致し方ないことなのだろうか。平和と戦争が明らかに矛盾しているとはいえ、軍を手放せない国は多くあるのは、「もし攻められたら?」不安が避けられないからなのかもしれない。
詳細
注釈、由来
【注釈】「治」とは、統治された平和な国家のこと。「乱」戦争のこと。
【出典元】「易経・繁辞伝」
【語源・由来】「易経・繁辞伝」に「是の故に君子は安くして危うきを忘れず、治にして乱を忘れず(君子は安全だと思っても危険ではないかと用心し、平和であっても乱れるのではないかと用心する)」とある。
「治に居て乱を忘れず」の言い換え、反対、似た言葉
【同義語】
–
【類義語】
文事ある者は必ず武備あり/安に居て危を思う。/安に居て厄を思う/治まりて乱るるを忘れず/安きに危うきを忘れず/太平にも乱を忘るべからず
【対義語】
–
「治に居て」を「地に居て」と書くのは誤り。
「治に居て乱を忘れず」の例文
【日本語】「治に居て乱を忘れずというように、今は経営が安泰であっても、常に十年先のことを考えていかねばならない」
【英語】
In prosperity prepare for adversity./Clothe thee in war, arm thee in peace.
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