「二階から目薬」意味と読み方
【表記】二階から目薬
【読み】にかいからめぐすり
【ローマ字】NIKAIKARAMEGUSURI
意のままにならずもどかしいこと。また、遠回りしすぎて、効き目のないこと。
説明
二階にいる人が階下にいる人に向けて目薬をさそうとしても、あまりにも遠すぎて的中しないことから。思うようにいかず、もどかしいことのたとえ。また、回りくどくて効果のないことのたとえ。二階から階下の人に目薬をさそうとしても、上手くいかない意から。
「二階から目薬垂らして意味あるのか?」と、だれもが不思議に思うことわざだが、こうした昔話から生まれた。
江戸時代中期、おそらく遊郭にて。ある男が二階で支度をする遊女に「おう、姐さん。あんたがそんなに着飾っても意味ねえだろ?」と、からかった。その言葉に対し女は「あんた、目が悪いのかい?目薬でも垂らしてやろうか?」と言い返した。それに対し男は「やれるもんなら、やってみな!」という。遊女も男もこうしたやりとりは挨拶みたいなものであり、傍から見れば仲が良さそうにも見え、微笑ましくも思える。遊女は建物から出られないこと、高すぎる遊郭の料金にひがむ町民の姿を考えると当時は頻繁にあったことが想像できる。
詳細
注釈、由来
【注釈】二階にいる人が階下にいる人に向けて目薬をさそうとしても、あまりにも遠すぎて的中しないことから。
【出典元】『上方いろはかるた』「風流御前義経記」
【語源・由来】「二階から目薬さす仕掛け、さりとは急な恋ぞかし(二階から目薬をさすカラクリは、まるで急な恋愛のようでもある)」「風流御前義経記(元禄13年)」より。解説:「仕掛け」とは、女が男に対し言い返す決まり文句のこと。本来男に美醜をからかわれることは辛いことだが、言い返す言葉である「二階から目薬(あなたは目が悪いのか?目薬さしてやろうか?)」には、男の言葉に対し嘲笑うの他、「よく見たら良い女かもしれないよ、あなたも遊びにおいで。」のような意味もある。お互い気心が分かるからの言葉。
「二階から目薬」の言い換え、反対、似た言葉
【同義語】
天井から目薬(てんじょうからめぐすり)
【類義語】
二階から尻焙る/靴を隔てて痒きを掻く/月夜に背中焙る/隔靴掻痒/御簾を隔てて高座を覗く/天井から目薬/灯明/焼け石に水/遠火で手を焙る/灯明で尻を焙る/焼け石に雀の涙/杯水車薪
【対義語】
麻姑掻痒
「まぐれ当たり」という意味で用いるのは誤り。 誤用例 「まさか宝くじで1等を当てるとは、二階から目薬のような確率だ」
「二階から目薬」の例文
【日本語】「会社を再生するには、二百万円あったところで二階から目薬というものだ」
【英語】
Eye drops from the second floor./That’s a terribly inefficient way to do it./He spoke in a roundabout way./Far water does not put out near fire.